OS X Audio talk

coreaudio に捧ぐ - 僕はオンガク Mac OS X 片手に since 2003/06/15.
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Mon, 10 Nov 2003

Tracktion

osxAudio.com で紹介されるなり「マジでロックなDAWキタ━━(゚∀゚)━━!!」「EmagicもSteinbergもCakewalkももう(゚Д゚)ノ イラネ 1つ買う値段でtracktion二つ買えるし」「AudioUnit使えないのかよΣ(゚д゚;)」「これ最高だわ。五分で分かった(・∀・)ノ」等数々の賛辞を受けている Tracktion は 10月頭にOS X版のベータが公開された DAW (Degital Audio Workstation...録音したりエディットしたりエフェクトかけて曲作るやつ) ソフトウェアだ。

ベータ版ながら既に先行している Windows版の評価の高さが納得出来るデキですよ!是非トライすべき。ここでごちゃごちゃ説明するより日本語Tracktionユーザーサイト Tracktion User's Forum Japan! の紹介をお読み頂きたい。

Tracktion (raw material Software)


あ、使い方も先程の Tracktion User's Forum Japan! のマニュアルページがナイスワークですのでそちらを御覧頂き、ここでは感想と雑文に終始します。

感想 (つか、オーディオソフトのインタフェイス批判等)

ユーザーインタフェイスがイイ。OS標準のインタフェイスを使わない独自デザインのインタフェイスのソフトって、大抵OS標準のインタフェイスより劣った使い心地で苦手なんだけどこれは「OS標準のモノより全然こっちの方がイイし」という自信に基づいて設計されている。(あと、移植した時に同じデザインにしたい、というのもあるよね多分)

具体的に一つ挙げますと、Reasonとかあと無数にあるVSTiとかには、パラメータを操作するのに本物のラックそっくりのツマミがついてるわけです。しかも小さいの。クリックしにくい。

ツマミ、というのはOS標準のインタフェイスだとスライダーの替わりにあるんだけど、大きく言ってどちらも"パラメータをマウスでドラッグして値を連続的に変化させる"と、"パラメータの設定値を目視で確認させる"という2つの目的の為に存在するわけです。

で、ツマミではパラメータを変えるのに、マウスでツマミ部分を押して、ツマミの円周方向にドラッグさせるとツマミが回る(リアルツマミ回し方式)と上下(or左右)にドラッグさせるとツマミが回る(疑似スライダ方式)の二種類があって、前者の使いにくさ(というか、操作できなさ)は犯罪的。後者にもツマミのビジュアルから操作方法が理解できない、マウスの移動量に対するパラメータの変化量がわからない、パラメータの最大/最小のポイントがどこにあるのか操作しながらわからない(悪くすると画面の外側にあって一度のドラッグでそこまで変更できない)、等の問題点がある。操作に慣れた場合、ツマミがでかければ操作も、設定値の目視もそれなりにしやすそうなんだけど、大体はツマミが小さい上に(よせばいいのに)そのビジュアルがリアルなため設定値の目視も辛い(ツマミのビジュアルがシンボリックに設定値を表現する物であれば多少目視しやすいのに)。

一方おそらくツマミを採用する理由もあって(本物のラックぽい見た目の方がカッコいいから…って理由は却下だ)スライダーだと画面を占有し過ぎる、スライダーよりもツマミの方が値の範囲に対して大きい移動範囲を取れる(音楽系のソフトはリアルタイムにパラメータを動かしたりするので、細かく滑らかで連続的なパラメータ変更ができた方が嬉しいのだ)等の利点がある。

さて Tracktion のインタフェイスは、パラメータによってタイプの違うインタフェイスが採用されているのだが、例えばボリュームはボリュームとパンの状態を表す小さなシンボルとして表示されていて、クリックするとボリューム調整の大きなスライダーがその場に出現して、スライダーのメモリを見ながらボリュームを調節できる。大きいスライダーの使いやすさを維持しつつ画面をコンパクトに納めるためのデザインだ。 また、VSTエフェクトを使用するときはVSTエフェクト自身の操作パネルは表示せず、パラメータ毎に大きなスライダーを表示して操作できるようになっている。Tracktionの作者は、VSTの作者達がまともなインタフェイスを作れない事を知っているのだ。

と、ツマミにこだわって説明したわけだけど、全体的な部分としても「なるべくウィンドウを開かず、1ウィンドウで済ませるデザイン」や、「ツールパレットを用いず、クリックするシンボルによって機能が変化するインタフェイスを採用」等、使いやすさに対する高い意識に満ちている。また各コントロールはきれいにシンボル化されていて見やすい。所々シンボルの意味を覚えないと使いづらい部分があるが、シンボルにポインタを合わせると右上に解説が出るので(英語だけど)あちこちポインタで触っているうちに理解できるようになっている。

そんな感じで、音楽(作成)系のソフトってインタフェイス遅れてるよなあ…(他のジャンルでもそういうの多いけど)って思ってる方はゼシ。

あ、ちなみに波形を直接編集する機能はないので(将来的には実装するのかな?)Audacity(マルチトラック、高機能だが多少不安定、GPLフリーソフトウェア)SoundStudio(シングルトラック、安定してて使いやすい、$50)等を利用するといいかも。

おまけ、TracktionはMackieに買い取られて箱売りされるらしいです。値段も上がるらしい(今買っといた方がいいのか、どうせ次のアップデートで料金取られるからしばらく待って箱を買った方がいいのかは不明)。SuperColliderのJames氏の一件を彷佛とさせる(その件ではAppleが買ったのはソフトのSuperColliderでは無くて作者のJames氏だったんだけど)。実際これまでのTracktionは殆どJules氏という人一人で制作してたみたいで、僕はそういう天才ハッカーが殆ど一人で作ったようなプログラムがとても好きなので少し残念だ。逆に、天才ハッカーは配布とか宣伝とかの手間は他人にまかせてコードだけ書ける環境をあげた方がいいかもって気もするのでJules氏にとってどっちがいいのか分かんないけど。 なんじゃろ。僕の周りではCubaseとかをワレズで使ってる人が多い。それは僕の周りだけでなく、実際音楽ソフトってアホみたいに高く、アマチュアの人でワレズの音楽ソフト使っている人は非常に多いらしい、まあしょうがないかその人達はソフト買う金は無いし替わりに使いにくかったりするソフトを使うだけの知識とか熱心さはないわけだし。とも思うんだけどワレズでCubaseとかLogic使ってる人がその辺の替わりにTracktion買ったら(全然安いから買えるしさ)TracktionはMackieに買われなくても開発を続けられていたような気がする。販売とかの事務をする人を別に雇ったりして。Jules氏とMackieの契約がどうなってるのか知らないけど、販売数に対する歩合とか印税みたいな契約だったら直接販売の方が絶対に儲かるし、年俸とか月給制だったらなんかもうねー非常に遺憾に思いますって感じです。

とか、なんじゃコレ殆どソフトの紹介になってねえのかも良くワカンネエ。このままアップだ。

posted at 03:22 | category: /Apps_DAW_HDR | Permalink