d.v.d. の 1st DVD (複雑だ) "01 Less Than 01" がとても面白く(ライブで見た方がもっと良いかも!ですけど)、友達に見せても評判が良いので考えた事。
01 Less Than 01 / d.v.d. と、 Built with Processing デザイン/アートのためのプログラミング入門 / 前川峻志,田中孝太郎 をセットで教材、参考書にする(あるいはプレゼントする)というのはいかがでしょうか。
少し解説をすると、 d.v.d. はドラム、ヴィジュアル、ドラムの三人構成で、ライブではドラム2セットの間にラップトップを置いて、リアルタイムに生成したCGをプロジェクターに映して演奏をするグループ。ドラムにセンサーをつけてそのトリガーで映像内のオブジェクトを動かしていて、2人のドラムの演奏がテレビの前に二人並んでゲームをプレイしているように見える所がかわいらしいです(Youtubeのd.v.d.のライブ)。
一方、 Processing (検索でひっかからないと困るので、よく Proce55ing と書かれる) はコンピュータアートのために作られたプログラム環境(エディタ、コンパイラ、実行環境が1アプリになっている)で、言語としてはJavaなんですが、昔のBASICみたいに手軽に画像や映像を生成するプログラムが組める。必要なライブラリを調べてインクルードしてAPIを読んで…という手間が極力減らされているシステムです。さらに、作った物を Java Applet として Web に公開するのも簡単。
で、 d.v.d. の DVD に収録されている映像のおそらく8割くらい、ライブで使ってる映像の多分全部が、 Processing で作られているみたいです。なので、 d.v.d. を Processing の最もエキサイティングな作例として、 Built with Processing にチャレンジしたらとても面白いと思うんですよ。
d.v.d. のヴィジュアル担当の山口さんという人は多分バッリバッリに技術がある人だと思うんですが、 d.v.d. については凄くシンプルで、いい感じに肩の力の抜けたプログラムをしているように見えます。多分ソースコードもそんなに長くないんじゃないか。アイデアをシンプル・ミニマルに映像化したポップさやライブでリアルタイムに動かす事、セッションを繰り返して表現をイテレートしていく事を考えてこういうスタイルをとっているのだと思います。
おかげで、 d.v.d. の映像は自分でもこういうの作れちゃうんじゃないか、とプログラムをかじった事のある人なら思ってしまう内容になっていて、そこがこれから映像のプログラミング始める人にとって「いい罠」になると思うんですよね。実際に d.v.d. の映像のいくつかについては、その核となる部分だけなら簡単に「カバー」できてしまう。でも、そこから映像として強度のある表現に演出していったり、カラーや動き、デザインをつけていくような、いわゆるセンスを問われる部分につっこんで行くと、いくらプログラムをいじってもいじっても d.v.d. の様にはならない。そこでつまづいて、映像表現の奥深さを(プログラムを自分で作った事によって、それ無しでは得られない深さで)感じられたら、プログラムについての体験という枠を超えてすごくいい体験なんじゃないか。逆にそれを軽々と超えて行ける人だったらその世界で活躍できる素質があるし!と思います。
という事でですね、映像表現に興味があって、プログラムをしているorしたい人には当然オススメなんですけど、それだけじゃなく映像分野に全然関係ない、仕事でしかプログラムをしない様な人にこそこういうのを試してみて貰いたいな。と思います。
なぜかというと、映像のプログラミングに挑戦すると、社内の情報や経理のデータを処理していたり、Webを更新している自分のプログラム技術と、映画やゲーム、PVで使われている、派手でかっちょいいCGのプログラム技術がちゃんと地続きになっているという事を確認する事ができて、それはひいては自分のプログラム技術(の延長)でなんでもできる・作れるんだ、という認識に繋がると思うからです。(僕はプログラム技術自体は「何でも入る箱」みたいな物で、そこに「経理の知識」をいれれば「勘定奉行」になるし、「幾何学」と「映像センス」をいれればCGができる、と考えています)
でも、学校や趣味の独学でプログラムを始めた人に比べて、仕事の為にプログラムの世界に入った人って、そういった認識に凄く達しづらい環境で勉強・仕事しているな、と最近感じるのです。(とりあえず資格取る為の勉強したりね、資格の為の参考書って、あらゆるプログラム関連の参考書の中で一番退屈なんじゃないかな)そんな認識なくてももちろん仕事はちゃんとできるし、いい仕事をしている人もたくさんいるけど、でもその認識があるとプログラマーとして仕事する事への矜持とか、勉強するモチベーションが結構上がってきて、ひいてはプログラマーとしての人生が豊かになってくるんじゃないかと思います。だから、 SIer のプログラマー研修の中にも 5% くらいでいいので業務に全然関係ない映像表現やゲームの為のプログラムをやってみるコーナーがあったりしてもいいと思う。そのための環境としては、 Processing はとっつきやすいし、言語がJavaなので仕事の為に学んだ知識を流用できる事が多くて最適!だと思います。
で、ここまで書いてきてアレなんですけど、書籍 "Built with Processing" は僕はまだ読んでいなくて(スミマセン)、どこでも絶版品切れ状態、Amazonのマーケットプレイスではプレミアつきまくりで\9,000以上(!!)、という状態であります。でも3月に改訂版が出版予定らしいですよ!(追記:改訂版が出たので、記事を書きました)評判を見る限り大変良い本らしいですし、wktkして待とう。間違えてAmazonで\9,000の本を買わない様にね。エイゴの解説でもあんまし苦にならない人だったら本家サイトみるのが一番いいんですけどね…
ちなみに僕はもう1年くらいマジメにProcessingしてないけど、いろいろいじってた頃の記録を かこう! proce55ing に残していました。
プログラムっぽい作品タイトル、 "01 Less Than 01" = "01 < 01" を並べ替えると "dvd" になるって昨日初めて気がつきました。ところがパッケージには
01 v 01
って縦に書いてあって、これだと
d v d
に配置とは凄く近くなるんですが、読み方は "01 greater than 01" になっちゃうよね。これを下から上に読めというのか…多分、 "Less Than Zero" (読んだ事無いけどビートニク小説) にもかけてるのだろうとは思うのですけど。
全然関係ないけど、昔 perl の lt, gt や HTML の < > が覚えられなくて(larger than だから lt だっけ?とか more than で mt だっけ?とか)、左向きだから < は l(ef)t 、右向きだから > は (ri)g(h)t って覚えてました。
以前 d.v.d. "01 Less Than 01" を見て Prose55ing をはじめよう という記事を書いたんですが、なんとこの改訂版には d.v.d のインタビ...
ハルカ 『改訂版は(amazonによると) 3月31日発売予定なんですが、 d.v.d インタビューが載ってる!すごい!セットで購入しよう!→ http://www.bnn.co.jp/books/title_index/web/bwp2.html』 (03/27 10:29)